瘋癲ノ喜多サン

美しい性器

口に含む
性器

香る
眺むる
飾る

愛でる
触れる
隠す
そしてまた
露わにする

葬式に送る
性器

祝う
悲しむ
彩る

花束は
誕生にも贈られ
結婚にも贈られ
死者にも贈られる

人はなぜ
これほど花を愛するのだろう

美しいから

香るから

儚いから

そして何より
花は生命そのものだからだ

植物における性器

それが花

雄蕊があり
雌蕊があり
蜜を湛え
香りを放ち
虫を誘う

なんとも露骨で

なんとも艶めかしく

なんとも美しい性器

それを人間は
恥ずかしいとは言わない

むしろ摘み取り

花瓶に挿し

部屋のいちばん美しい場所へ飾る

不思議なものだ

人間の性器となると
急に隠したがる

卑猥だと言う

見せてはいけないと言う

口にしてはいけないと言う

けれど

生命をつなぐ場所であることに
何の違いがあるのだろう

花と同じだ

咲き方が違うだけだ

人間の肉体にも
花がある

胸も
腰も
臀部も
唇も

そして性器も

それぞれが
その人にしかない形を持っている

私は縄をかけながら
ときどき花を生けているような気分になる

一本の縄を置く

もう一本を重ねる

肌の余白を残し

線を走らせ

締め

持ち上げ

包み

肉体の中心へと
視線を導いてゆく

隠すためではない

恥じさせるためでもない

そこにあるものを
より美しく見るためだ

縄は額縁にもなる

茎にもなる

蔓にもなる

一本の線が加わるだけで
肉体の景色は変わる

そして性器は
単なる性器ではなくなる

肉体の中に咲く
一輪の花になる

私は
性器を縛っているのではない

彩っているのだ

その人だけの花として

その瞬間だけ咲く
二度と同じ形にはならない花として

性器を彩って創る縛り

それもまた
私にとっての緊縛なのである


 

キュレーター紹介

逝かせ縄という妙技を操り、多くの女性を快楽の果てと誘う。東京と名古屋に道場を持ち、日本古来の文化である美しい緊縛を多くの生徒に伝承している。美しくなければ緊縛ではない美しい緊縛は気持ちがいい、それは肉体と精神と性が解放されることだ。
詳しいプロフィールはこちら:https://smluxury.jp/profile/

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