瘋癲ノ喜多サン
危険なロードムービー
危険な道が好きだ。
危ない小路、いかがわしいネオンの街、
恐怖あまり開き直れるほどの暗がり。
死のニオイがうっすら漂うような場所に足が向くのは、どうしてかって?
そんなところで生まれ育ったからに決まってる。
海外に行っても、選ぶのは似た匂いの通りばかりだ。
危ない目なんて一度や二度、いや三度四度……もっとだな。
殺される覚悟をしたことすらある。
それでもどうせ向こうも同じニオイの人間だろ、と思えば妙に腹が据わる。
思春期の頃は、そんな街が大嫌いだった。
暴力と恫喝と怒号が飛び交う、下品で無知で無教養な街。
一日でも早く、一時間でも短く、この街を出たかった。
そうして逃げ込んだ東京で、五反田の雀荘で違法賭博の見張りをやったり、
歌舞伎町の個室ビデオで無修正ポルノを貸し出す店の店員をやったりした。
どうせ不法営業だとタカを括って売上を持ち逃げし、
アパートに何ヶ月も戻れなかった夜もある。
結局のところ、居心地のいい場所ってのは、いつだって番外地なんだろう。
なにせ、進む道はいつだって危険で先が見えない。
瞬間瞬間を生きるうち、歩いてきた道の意味すら風化することがある。
そんな男が縛りあげるのは、ビートニクモードだ。
エロスの花が咲き乱れる、アウトサイダーなジャンクアートで上等だね。
人生は危険なロードムービーでなければ意味がない。
安全な舗道なんて、歩く価値すらないのさ。
なんて生きてきた男が
呑気に日向ぼっこをして
あーいい人生だなって目を細めている。
キュレーター紹介
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