ブラックインディアンの呪い
センスの悪い、いわゆるダサい人間というのは、
美しいものを美しいと思えないし、
セクシーなものをセクシーだと感じる回路がどこか鈍っている。
ただの刺激だ。
反応のための動機付けにすぎない。
本来、エロスとはもっと深いところにあるはずなのに。
死に近い場所、境界が揺らぐような瞬間にこそ、
それは立ち上がるものじゃないのか。
なのに現実はどうだ。
安っぽい光と音に囲まれて、
既製品の快楽をなぞるだけの行為。
そこに何かが宿っているのかと問われれば、
どうにも首をかしげたくなる。
もちろん、互いにそれで満たされているのなら、
外野がとやかく言う話でもない。
癖も、好みも、結局は個人の領域だ。
けれど、どこかで引っかかる。
片方が乗り気でもないのに、
空気と勢いで押し切ってしまうような関係性。
その軽さに、妙な寒気を覚える。
それすらエロスだと言われれば、
まあ、そうなのかもしれない。
人の数だけ定義はある。
ただ、個人的にはどうにも合わない。
あの人工的な音も、
妙に演出過多な光も、
どこか神経を逆撫でする。
実際に触れて確かめたわけでもない。
断片的に目にしただけの印象に過ぎない。
それでも、身体が拒否する感覚は嘘をつかない。
昔、一度だけ試したことがある。
名前もいかにもな代物だったが、
あのときの違和感が、いまだに残っている。
結局、受け入れられるのは、
余計な装飾のないものだけだ。
声と気配、
それだけで十分だと思っている。
部屋は暗くていい。
過剰な演出はいらない。
ただ、そこにあるものだけで成立する関係。結局のところ
ただの偏屈な好みの話だ。
何が正しいかではなく、
何がしっくりくるか。
だから思う。
どうせなら、すべてにおいて、
センスの合う人がいい。
それだけの話だ。
~Fin~
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