瘋癲ノ喜多サン
誠実な朝の迎え方
眠れない男のとなりで、
イヌもネコも、
コドモもオンナも、
みんな驚くほどよく眠る。
目を閉じたと思った瞬間に、
深い眠りへ落ちていく。
呼吸は静かに整い、
身体は世界から切り離される。
本来なら、
優しい気持ちで見守るべきなのだろう。
眠っているものは無防備で、
それだけで愛おしい。
そう分かっている。
分かっているが、
どうしても妬ましい。
わたしは、
寝返りひとつ打たず、
微動だにせず、
闇の中に取り残される。
一睡もできないまま、
考えだけが増殖し、
時間だけが正確に進んでいく。
気づけば、朝だ。
光は容赦なく差し込み、
世界は何事もなかったかのように始まる。
まったく、
腹立たしい朝だ。
だから、
寝るのはひとりがいい。
誰かの安らかな寝息を横で聞きながら、
自分だけが起きているという状況に、
これ以上耐える理由はない。
眠れない夜には、
ひとりでいるほうが、
まだ誠実なのだと思う。
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